米国債は最大利率2.38%でほぼリスクのない金融商品 3つのメリットとどこで買えるのかを解説

米国債は世界中で人気の債券

世界的な株高とは逆に、中長期投資の個人や年金基金、保険会社のお金は株式市場の資金を利益確定を進め、安全性が高くて一定の利回りを確保できる米国債や米社債に資金を流入させています。直近の日本株や米国株の高値更新は短期筋や自社株買いが主導しており、株安の危機に備えて、米国債のような安全性の高い利息を確実に受け取れる資産への投資がおすすめです。

(参考)日本経済新聞 2019年10月16日

米国債のメリットは安全かつ非常に高い利回り

米国債は、アメリカ合衆国財務省が発行する債券です。アメリカ合衆国が倒産しない限り満期時に元本が保証されています。ただし、満期前の途中売却は元本割れする可能性はあります。ドルは基軸通貨として、極めて高い流動性があることから、各国外貨準備として米国債を利用してドルを保有しており、「有事のドル買い」として戦争や経済危機時には資金流入が起きる傾向にあります。

<各国の米国債保有動向>(2019年4月)
順位 保有金額(10億ドル)
1位 中国 1113.0
2位 日本 1064.0
3位 ブラジル 306.7
4位 イギリス 300.8
5位 アイルランド 269.7

そして、米国債が投資先として魅力なのが利回りです。債券は満期時に元本が返ってくることから、購入時にドル建で利回りは保証されています。

以下は、各国債券の利回りの指標となっている10年国債の利回り比較です。

<10年国債利回り比較>(2019年12月24日時点)
国債 利回り
米国 1.926%
日本 0.009%
ドイツ -0.238%
イギリス 0.779%
フランス 0.064%
スペイン 0.460%

このように、米国債は先進国の中でも利回りが高く非常に魅力的です。

具体的な債券の利回りとしては、日本の個人向け国債の利回りが0.05%に対し、米国債は1.2~1.6%前後の利回りがあります。

また、社債であれば日本のソフトバンクが1%前後に対して、トヨタ・モーター・ファイナンスが1.8%、バンク・オブ・アメリカ(全米2位の銀行)が3%など高い利回りが魅力です。(2019年12月30日現在 SBI証券 外債建債券 既発在庫)

外貨預金と何が違う?

ドルで運用するなら、銀行で外貨預金に預ければよいと考える方も多いと思いますが、外貨預金と比較しても断然米国債の方がおすすめです。外貨預金との違いと米国債のメリットについて紹介します。

<外貨預金と米国債との違い>
外貨預金 米国債
預け入れ方 いつでも預け入れることができる 新規発行は募集期間中に購入しなければならない
既発は、証券会社に在庫があれば買える
金利 特別金利のキャンペーンがある 外貨預金より少し高い、期間が長いほど高い
中途解約 普通預金の金利が適用
中途解約ができない定期預金もある
途中売却は時価で証券会社が買い取り
元本割れの可能性はあるが、保有期間中の利息は受け取れる
利息 満期時受取 元本と別に受取
MMF自動買付で複利効果大
保証 中途解約でも外貨建てで元本保証 途中売却すると外貨建てでも元本割れの可能性あり
預金保険制度の対象外 証券会社の資産と分別管理
外貨のまま引き出し できる できない

◼️外貨預金

<仕組み>

外貨預金は、円からドルに交換して(または保有しているドル)定期預金に1ヶ月・6ヶ月・1年等一定期間預けることです。満期時に利息を受け取ることができますが、中途解約すると普通預金の低い金利が適用されます。中途解約しても、外貨建では元本保証されています。

銀行の外貨預金は、特別金利として高い金利を期間限定で受けとれるサービスが行われています。例えば、「円からの預け入れで年率6%(期間1週間)の特別金利!」等のことで、金利は高いですが期間が短いため、1万ドル(約106万円)預けたとしても、利息は11ドル程度の約1,200円となり、そんなに大きな利息にはなりません。高い金利に注目してしまいますが、期間に着目して利息計算してから預け入れしましょう。

<手数料>

円→外貨、外貨→円に交換する際に為替手数料がかかります。為替手数料は、ドルの場合大手銀行の窓口なら片道1円、ネットバンキングなら25銭、ネット銀行なら25銭程度となります。為替手数料が1円なら往復約2%、25銭なら往復約0.5%の手数料がかかります。

(為替手数料は銀行によって異なります。)

<利金・満期金の扱い>

利金・満期金は円で受け取るか、外貨で受け取りまた自動で定期預金に預けることもできます。さらに、手数料はかかりますが、外貨で引き出すこともできます。

<中途解約>

定期預金を解約すると普通預金の金利が適用されますが、外貨建てでの元本は保証されます。ただし、中には中途解約が認められて定期預金もあるため、預け入れ前によく確認しましょう。

<税金>

利息は20.315%の源泉徴収、満期時に為替が円安となったことによる為替差益は雑所得になり、確定申告が必要です。

外貨預金の為替差益による雑所得は、【総収入金額-必要経費=その他の雑所得】として、給与所得などの他の所得と金額を合算して、収める税金を計算します。ただし、年収2,000万円以下の給与所得者で為替差益を含めた給与以外の所得が年間20万円以下の場合は申告不要になります。

また外貨で受けとる場合は、満期時の外貨を円換算した金額で為替差益を求めます。

<保証>

外貨建てで元本が保証されますが、銀行が倒産したときに適用される預金保険制度の対象外となります。そのため、安全性の高い銀行で預けるのが安心でしょう。

◼️米国債

<仕組み>

ドル建債券は、発行体が倒産しない限り満期時に外貨建で元本が返ってきますが、満期前に売却すると外貨建てでも元本が割れる可能性があります。

一方、外貨預金は中途解約しても外貨建てでの元本は保証されるものの、金利は普通預金の低い金利が適用されますが、外債は保有期間中の利息は途中売却しても受け取れます。(年2回の利息を受け取る時期が到来していなくても、売却代金に経過利息として保有期間中の利息が含まれます。)

<手数料>

債券自体の購入に別途手数料はかかりません。外貨預金同様、円→外貨 外貨→円に替えるときに為替手数料がかかり、ドルの場合片道25銭程度で往復0.5%程度かかります。(証券会社によって為替手数料は異なります。)

<利金・満期金の扱い>

利息は、元本とは別に年2回受け取れ、円か外貨で受け取ることができます。外貨は、『外貨建MMF』といって公社債で運用されている投資信託を自動買付して運用することができます。外貨建MMFは、外貨預金より少し高い金利程度で運用でき、売却すると翌営業日には換金できる換金性の高い投資信託で高格付けの公社債のみで運用されているため、元本割れもほとんどありません。(買付時・売却時手数料はかかりませんが、外貨→円にするときには為替手数料がかかります)

<途中売却>

債券は、満期には元本が返ってきますが、満期前の売却は元本が割れる可能性があります。債券価格は、満期まで緩やかに上昇しますが、市場金利の動きによっても価格変動します。

<税金>

利息、途中売却益、満期時の償還差益は20.315%の源泉徴収(源泉徴収なしも選択可能)

となります。為替差益は、債券の償還差益または譲渡益に含まれ、20.315%の源泉徴収になります。

利息や満期金で、外貨建MMFの買付をした場合の利息と為替差益も20.315%の源泉徴収となります。

売却または満期時、外貨で受け取った場合は、その時点で円換算された金額で計算されます。

<保証>

証券会社に預ける資産は、証券会社の資産と分別管理が義務付けられているため、証券会社が倒産しても、資産は守られます。

このように、外貨預金と比較するとドル建運用で複利運用効果が最も大きいのが米国債といえます。なぜなら、利息を金利の高い外貨建MMFでさらに増やすことができるからです。

リスクはゼロではない

日本はマイナス金利政策をとっており、国内の債券や定期預金は非常に低い金利となっています。例えば、三菱UFJ銀行の「満期1年のスーパー定期」に預けると年率0.01%が適用され、100万円預けても利息は税引前100円しか受け取れません。

一方、ドルで運用すると、日本よりも魅力的な高金利で預けることができ、円安になれば為替差益を受け取ることができます(その逆で為替差損が出ることもあります)。

為替リスクはあるものの、長期運用なら円安まで待つことができ、その間利息を受け取り増やしていくことができます。

つまり、長期で資産をじっくり育てていくイメージでドルを預けるなら、非常にリスクの低い金融商品です。

具体的には、為替は円高になったり円安になったりと常に動くので、利息は外貨で受け取り、満期金も外貨で受け取ります。受け取った利息と満期金は外貨建MMFに入れておきます。利回りの良い米国債があれば米国債を購入します。近く入り用がある場合はそのまま外貨建MMFに入れておきましょう。外貨建MMFは、翌営業日に換金することができるため、円安時や入用時すぐに換金することができ、ドル建で元本割れもほとんどありません。(為替による元本割れはあります。

米国債を買える場所と米国債の種類について

米国債は、大手証券や大手ネット証券で、在庫があれば購入することができます。そのほとんどがすでに発行された既発債(きはつさい)となります。米国債には、利付国債(りつきこくさい)とストリップ債の2種類があります。

◼️利付国債

100で発行され、満期時に100で返ってきます。その間年に2回利息を受け取ることができます。既発の場合そのほとんどが100を超える価格で購入しなければなりません。

例えば、満期5年で現在1年経過している残存4年の価格101、利率1%の米国債を1万ドル購入するとき、購入価格は10,100ドルとなり、満期には10,000ドルでしか返ってこず元本自体は100ドル損となります。利息が100×4年=400ドル受け取れるため、元本の100ドルマイナス分と利息400ドルのプラスを合わせ、満期まで持つと300ドルの利益となります。したがって、この債券の最終年利回りは、300/4年÷10,100ドル=0.74%となります。

最近の米国債は100を上回っていることがほとんどなので、既発の米国債を購入するときは、必ず表面利率ではなく最終利回りを確認しましょう。

◼️ストリップ債

ストリップ債は利息がありません。債券は、満期時に元本100%で返ってくるため債券価格もなだらかに満期に向けて100に近づいていきます。それを利用して、ストリップ債は100より下の50~60で発行し、もちろん満期の100まで保有しても良いし、満期前の80と利益になっていれば売却することもできます。

例えば、満期20年現在5年経過している残存15年の価格60、利率0%の米国ストリップ債を1万ドル購入すると、購入価格6,000ドルとなり、5年経過後価格70の7,000ドルで売却すると、この債券の最終利回りは(7,000-6,000)÷5年÷6,000ドル=3.3%となります。

このストリップ債は、利率が0%なので、最終利回りを確認して投資しましょう。

米国債を買うならSBI証券がおすすめ

<米国債比較>
証券会社 米ドル為替手数料 最低購入単位 (1ドル=110円換算) 利付国債 割引債
SBI証券 4銭 1万円 6 8
楽天証券 25銭 1万円 2 2
SMBC日興証券 50銭 11万円 12 16
大和証券 50銭 11万円 0 12

米国債投資をするならSBI証券がおすすめです。なぜなら、銘柄数も豊富で、為替手数料が圧倒的に安いからです。

◼️住信SBIネット銀行経由なら為替手数料が安い

円から米国債に投資する場合、円からドルに交換するときに為替手数料がかかります。その円からドルに交換するのを住信SBIネット銀行で行うと為替手数料が片道4銭になります。交換したドルはSBI証券に入金手数料無料で入金でき、即時反映されるので、大きな手間はありません。

住信SBIネット銀行は、SBI証券の口座開設時に同時開設し、SBI証券への証券口座の買付余力「SBIハイブリッド預金」として利用します。

また、外貨出金手数料も無料となっているため、旅行等でドルを引き出したいときには証券口座のドルは利用できないため、銀行に出金できれば便利です。

◼️少額から購入できる

米国債の購入単位は100ドル以上100ドル単位となっているため、1万円ぐらいから気軽に米国債投資を始めることができます。大手証券が1,000ドル単位で11万円ぐらいからの投資に比べると、非常に最初の敷居が低いのが魅力です。

◼️取扱銘柄数が豊富

償還期限の異なる利付国債とストリップ債が満遍なく揃っており、米ドル建の社債も豊富に揃っています。米国債よりも高い利回りを求めるなら、米ドル建社債がおすすめです。

SBI証券で米国債投資を始めよう

SBI証券は、大手ネット証券で口座開設数No.1で、債券以外にも豊富な商品ラインアップとなっています。為替手数料がお得になる住信SBIネット銀行はSBI証券の証券口座として利用されるため、口座開設と同時に開設することが必須となっており、同時に手続きできます。まず、住信SBIネット銀行で円からドルに交換して、SBI証券に入金して米国債を購入し、利息と満期金は常に外貨建MMFで運用して複利運用しましょう。

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