iDeCoと住宅ローン控除の併用時に注意すべき4つのパターン。「所得控除」と「税額控除」の違いとは?

住宅ローン減税制度とはどのようなもの?

住宅ローン減税とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といい、住宅の購入や増改築にかかる借入金の年末ローン残高の1%が10年に渡り所得税から控除される(控除しきれない場合は住民税の一部)制度です。

平成26年4月~令和3年12月まで住宅ローン控除が受けられる最大ローン残高は、4,000万円で10年で最大400万円を控除することができます。また、①認定長期優良住宅②認定低炭素住宅の新築または新築後未使用の住宅購入の場合(以下認定住宅という)、住宅ローン控除が受けられる最大ローン残高が5,000万円となり、10年で最大500万円控除することができます。

さらに、令和元年10月~令和2年12月まで(消費税10%が適用された住宅を取得した場合)は、控除期間が13年となり、10年目までは先の控除額と同じですが、11年目~13年目は①住宅ローン残高または住宅の取得単価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%②建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3のいずれか少ない方が控除できます。なお、認定住宅の場合の上限は5,000万円となります。

<住宅ローン減税>(平成26年4月~令和3年12月)
居住開始時期 平成26年4月~令和3年12月 令和元年10月~令和2年12月
控除期間 10年間 13年間
控除率 1% 1%
最大控除額 4,000万円×1%×10年=400万円
(認定住宅の場合5,000万円×1%×10年=500万円)
1~10年目 4,000万円×1%×10年=400万円
(認定住宅の場合5,000万円×1%×10年=500万円)
11~13年目
①住宅ローン残高または住宅の取得単価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%
②建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3のいずれか少ない方 (認定住宅は上限5,000万円)
住民税からの控除上限額 年間13.65万円
前年度課税所得の7%
年間13.65万円
前年度課税所得の7%

なお、令和元年10月~令和2年12月までの住宅ローン減税期間の延長を受けられるのは、住宅を消費税10%負担したかどうかで判断されます。この期間の引渡でも8%負担の場合は適用されません。

住宅ローン対象物件

まず、住宅ローン減税の適用を受けるためには、以下の利用要件を満たす必要があります。

<住宅ローン利用要件>

・自ら居住すること

・床面積が50㎡以上であること、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住であること

・借入期間が10年以上

・合計所得金額が3,000万円以下であること

・新築又は取得の日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日までに引き続き住んでいること

・居住した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例を受けていないこと

次に、適用できる対象物件についてご紹介します。

◼️新築

上記利用要件に適していること

◼️中古物件

耐震性能を有していることが以下のいずれかにより証明されていること

・築年数が一定以下

木造などの耐火建造物以外は20年以内

鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建造物は25年以内

・以下のいずれかにより現行の耐震規準に適合していることが確認された住宅

「耐震基準適合証明書」「既存住宅性能評価書」「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」

◼️リフォーム、増改築

工事費が100万円以上であること

住宅ローン減税は、住宅ローン残高の1%を10年間に渡って、既に支払った所得税から還付されます(給与所得者の場合は毎月所得税が給与天引きとなっているため、自営業者等は確定申告時に支払う所得税から差し引かれます)。所得税から引ききれなかった場合は、翌年支払う住民税から引かれ、翌年支払う住民税が減税されます。

このように、税金から直接引かれることを「税額控除」といいます。税額控除は、所得税や住民税が少なく引ききれない場合も考えられますが、所得の違いよる節税額の違いはありません。

「所得控除」と「税額控除」の違い

控除には、大きく分けて住宅ローン減税のような「税額控除」と「所得控除」という2種類があります。

所得控除とは、税額を計算する前の所得(利益)から控除します。控除された所得に税率をかけて計算します。所得税は累進課税となっているため、控除された後に適用される税率によって、結果的に減税になる分は異なり、税率が高い人つまり所得が高い人ほど節税額は大きくなります。この所得控除の例として、生命保険料控除、配偶者控除、医療費控除、iDeCoの「小規模企業共済等掛金払込証明書 確定拠出年金(個人型年金)

所得控除 税金を軽減、所得が高いほど節税額大

所得
課税所得 所得控除
→課税 →課税されない

課税されるべき所得を減らすことができるため、税金を軽減できる効果があります。また、税率が高い所得が高い人ほど節税額が大きくなります。

税額控除 節税額大

所得
課税所得 所得控除
→所得税 →課税されない
→課税 税額控除

支払う税額から直接控除額を減らすことができるため、節税額が大きく、節税額は所得に関係なく引くことができます。ただし、控除額が所得税より大きい場合、住民税から引ききれかなった分を引くことができますが、住民税から引ける金額に上限があるため、支払う税金が少ない方は、控除しきれないこともあります。

一般に税額控除として使えるのは、住宅ローン減税、ふるさと納税となっています。(その他には、外国株式で二重課税になったときの「外国税額控除」)

なお、ふるさと納税は寄付した金額−2,000円が税額控除されますが、支払った分が返ってくるため、実質節税にはなっていません。

節税額が大きい住宅ローン減税を最優先として税額控除しても、まだ所得税・住民税が残る方は、所得控除で税金を減らすと良いでしょう。

所得控除には、会社員であれば年末調整時に申請する「配偶者控除」「扶養控除」「生命保険料控除」「損害保険料控除」などがあります。さらに、所得控除を増やすには「iDeCo(個人型確定拠出年金)」がおすすめです。

生命保険や個人年金の保険料も所得控除の対象ですが、全額所得控除することができません。(年間2万円は全額控除可)

<生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料控除額>
(新契約:平成24年1月1日以後に契約)

年間支払保険料 控除額
20,000円以下 支払保険料全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

iDeCoなら、拠出できる掛金に上限はあるものの、掛金全額が所得控除となり、運用で得られた利益も非課税となるため、所得控除の中でも特に節税メリットが大きいのが特長です。

iDeCoと住宅ローン減税併用シミュレーション

税額控除である住宅ローン減税を最優先ですが、住宅ローン減税をしても税金が残る場合は、iDeCoと併用することでさらに税金を減らすことができます。

会社員で課税所得が300万円、住宅ローン2,500万円の借入(期間35年)の場合

(特別復興所得税は考慮しないものとする。)

◼️住宅ローン減税のみ

所得税=課税所得300万円×10%-97,500円=202,500円

住民税=課税所得300万円×10%+均等割4,000円=304,000円

住宅ローン年数 所得税からの控除額 住宅税からの控除額
1年目 20万円 4万円
2年目 20万円 4万円
3年目 20万円 3万円
4年目 20万円 2万円
5年目 20万円 2万円
6年目 20万円 1万円
7年目 20万円
8年目 20万円
9年目 19万円
10年目 18万円
合計 197万円 16万円

住宅ローン減税で、所得税・住民税合わせて10年で合計213円減税できます。

◼️住宅ローン減税+iDeCo

企業年金のある第2号被保険者(会社員)が毎月12,000円をiDeCoに拠出した場合

所得税=課税所得300

−144,000円(iDeCoの所得控除)×10%-97,500円

=188,100円▲14,400円

住民税=課税所得300万円−144,000円(iDeCoの所得控除)×10%+均等割4,000円

=285,600円▲18,400円

住宅ローン年数 所得税からの控除額 住宅税からの控除額
1年目 18万円 6万円
2年目 18万円 6万円
3年目 18万円 5万円
4年目 18万円 4万円
5年目 18万円 4万円
6年目 18万円 3万円
7年目 18万円 2万円
8年目 18万円 2万円
9年目 18万円 1万円
10年目 18万円
合計 180万円 33万円

住宅ローン減税で所得税・住民税合わせて10年で合計213万円減税できます。

さらに、iDeCoで所得税・住民税合わせて毎年32,800円減税することができます。

このように、住宅ローン減税とiDeCoによる所得控除を併用すると、税金を大きく減らす効果があります。

iDeCoと住宅ローン減税の併用時に注意すべき4つのパターン

◼️iDeCoとの併用で税額が減ったとき、課税所得が少ない、借入残高が大きい

→住宅ローン減税の税額控除が引けない可能性も

iDeCoと住宅ローン減税の併用をすると大きく税金を減らすことができますが、支払う税金が少ないと税額控除で引ききれない場合があります。

住宅ローン減税には、控除できる住民税に上限があります。

住民税控除上限【年間13.65万円 前年度課税所得の7%】

所得税で引ききれなかった分は、住民税から引くのですが住民税に控除上限があるため、iDeCoにより所得税が減り、住宅ローン減税分が所得税から引ききれず住民税から差し引く必要があった場合、上限により引ききれない場合があります。しかし、引ききれないだけで、損をするわけではないため、iDeCoには所得控除以外にも運用益が非課税というメリットもあり、iDeCoは併用した方がおすすめです。

ただし、ふるさと納税と併用する場合は注意が必要です。ふるさと納税は寄付金として既に支払っているため、税額控除できないとその分が損(負担)になってしまいます。

◼️ふるさと納税との併用

ふるさと納税と住宅ローン減税の併用は可能です。しかし、注意したいのはふるさと納税で所得税を控除し、残りの所得税から住宅ローン減税が引ききれなかった場合です。

ふるさと納税は、住宅ローン控除より先に所得税から控除されます。次に、残った所得税から住宅ローン減税分が控除され、引ききれなかった住宅ローン減税分を住民税から控除します。ふるさと納税には住民税から差し引ける金額に上限がありませんが、住宅ローン減税には住民税から控除できる金額に上限があります。

住民税控除上限【年間13.65万円 前年度課税所得の7%】

会社員・公務員の方が確定申告不要でふるさと納税制度による控除を受けられる「ワンストップ特例制度」でふるさと納税した場合、住民税のみから控除され、控除額に上限がありません。

したがって、ふるさと納税の控除後所得税が減り、住宅ローン控除額が所得税から引ききれず、その引ききれない分が住宅ローン減税の住民税の控除上限額を超える場合には、ワンストップ特例制度で、ふるさと納税は住民税からのみ控除した方が良いでしょう。ただし、ワンストップ特例制度は、確定申告が必要になる「住宅ローン減税1年目」「医療費控除」の場合または自営業者等は利用できないことに注意しましょう。

住宅ローン減税+iDeCoがおすすめ!

iDeCoは、毎月5,000円~の掛金(年単位でも可能)で投信信託などを選択して積立して運用します。その運用した資産を60歳以降に一括または確定年金として受け取ることができます。一括で受け取る場合は退職所得控除、確定年金で受け取る場合は公的年金等控除を受けることができます。また、運用による利益である譲渡益や分配金は非課税となり、掛金は全額所得控除を受けることができる税制優遇の大きい制度です。

<iDeCo概要>
iDeCo
対象者 20歳以上60歳未満※で公的年金に加入していること
利用限度額 年金の種類により異なる
対象商品 投資信託、定期預金、保険商品
非課税期間 60歳まで
運用管理者 本人
払出制限 60歳まで払出不可
(50歳以上から始めた場合,受給開始年齢が繰り下がります。)
金融機関の変更 基本にはいつでも可能

※厚生労働省は社会保障審議会で、iDeCoを65歳未満に引き上げる方針を示しているため、加入期間が近く65歳まで引き上げられる可能性があります。

iDeCoには、会社員の方で確定拠出年金・企業型(DC)に勤め先が導入している場合で、自己拠出が可能な場合とDCの規定でiDeCo加入を禁止している場合は、そもそもiDeCoに加入することができません。

また、収入のない(税金を払っていない)、専業主婦(夫)の方はiDeCoに加入することはできますが、掛金の所得控除を受けることができません。

ただし、パート収入などで103万円以上で課税されている場合は所得控除を受けることができます。

節税メリットが大きいのはもちろんですが、老後破産しないために自分で私的年金として資産形成をするという意味でもiDeCoで毎月積み立てることがおすすめです。

住宅ローン減税と併用すると、iDeCoにより税金が減った場合、引ききれない場合もありますが、損をするわけではないため、iDeCoとは併用した方が良いです。

しかし、ふるさと納税と併用する場合、税額控除できると想定して寄付してしまった場合、税額控除できなかった寄付金は損失となってしまうため、控除上限額をしっかりシミュレーションしておくことが重要です。iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」としてシミュレーションの計算に参入します。

ふるさと納税サイトでシミュレーションできるので、住宅ローン減税やiDeCoと併用する

場合は、損をしないように計算して寄付しましょう。

◼️ふるさとチョイス

https://www.furusato-tax.jp/about/simulation?header_guide&yclid=YJAD.1575621526.h0lQEqWdcq2KZM8YAyeOT1iKzjE930TJZ7LfobmjjulQ2BMYAMDQ5vjG9uIdFvb1v_HZLqbUikhgCW8-

iDeCoの掛金は、12月に国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金控除証明書」で確認できます。会社員・公務員の場合は、年末調整時「小規模企業共済等掛金控除証明書」を添付し、掛金額を記載します。自営業者等や扶養に入っている主婦(夫)、無職の方は、税額控除を受けるためには確定申告が必要になります。

iDeCoなら楽天証券

iDeCoは、運用しているときに投資信託自体以外にも維持手数料がかかります。

<️iDeCo維持費>
支払先 国民年金基金連合会 事務委託先金融機関 運営管理手数料
加入時/移管時手数料 2,829円(初回)
加入者
(掛金拠出者)
収納1回につき105円 月66円 無料~月385円
運用指図者 月66円 無料~月357円
どの金融機関でも手数料金額は同じ 金融機関によっては無料

国民年金基金連合会と事務委託先金融機関に支払う費用は、どの金融機関で申し込んでも同じ金額を支払う必要がありますが、運営管理手数料だけは金融機関ごとに決められています。iDeCoは一度加入すると60歳まで原則引き出せず、拠出をやめても手数料がかかることから、運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶ方が良いでしょう。

<iDeCoの運用管理費用が無料の金融機関 取扱銘柄数>
金融機関 取扱銘柄数 運営管理手数料
(年間)
節税
シミュレーション
楽天証券 32銘柄 無料
SBI証券 83銘柄※ 無料
マネックス証券 25銘柄 無料
松井証券 12銘柄 無料
イオン銀行 24銘柄 無料
ゆうちょ銀行 34銘柄 3,108円

※2018年5月1日「確定拠出年金制度等の一部を改正する法律」の施行により、確定拠出年金の運営管理機関が選定・提示する運用商品の上限数を35以下とする規定がされたため、中には除外予定の商品があり、銘柄数は35以下に今後なる予定です。)

上記の中では、銘柄数が多いのはSBI証券と楽天証券ですが、以下の理由から楽天証券がiDeCoに最適です。

1.運営管理手数料が無料

金融機関ごとに異なる運営管理手数料が楽天証券は、無料です。

2. 豊富なウェブセミナーと大好評のガイドブック「IMAKARA(イマカラ)」で徹底的にサポート

iDeCoについて知るなら、楽天証券のiDeCoガイドブック「IMAKARA

がおすすめです。ネット上でもダウンロードして見ることができ、資料請求で送ってもらうことも可能です。味のある絵で初心者でも分かりやすいパンフレットで、iDeCoの仕組み・メリット、運用商品の選び方まで掲載されています。

そして、iDeCoについてなんとなく分かったら、iDeCoウェブセミナーを見ましょう。事前に顧客の質問をもとに構成されているため、分かりやすく、仕組みから運用商品への疑問をすっきり解決することができます。

3. 楽天証券の証券資産とiDeCoの年金資産が共通のID

楽天証券で口座を保有しているなら、証券口座にログインするだけでiDeCoの年金資産も一緒に見ることができ、運用商品の入れ替えや掛金の配分比率変更もできます。

証券口座とiDeCoのIDが別になっている会社も多いので、証券口座を見るのが日課になっている方は、ついでにiDeCoも見ることができ便利です。

4. 豊富な銘柄は、ファンドアナリストが厳選した、低コストで好運用実績の投資信託が中心

楽天証券では、ファンドアナリストが厳選した低コストで好運用実績の投資信託を中心に、幅広い商品が揃っています。国内・海外株式や債券はもちろん米国株市場約4,000銘柄を対象とした「楽天・全米株式インデックス・ファンド」や新興国へ投資する「インデックスファンド海外新興国株式」、金に投資する「ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)」もあります。

楽天証券のiDeCoは、初心者方でも始めやすいようになっており、iDeCo専用ダイヤルが用意されているので、不明な点があれば気軽に聞くことができます。まず、iDeCoの資料請求をしてみて、是非始めてみましょう。

手数料が安く低コスト取引が可能な証券会社

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取引手数料が最安水準の証券会社。
楽天ポイントを1ポイント1円として投資をすることも可能!

さらに、手数料から1%の楽天ポイントがキャッシュバックされるなど、手数料を徹底的に抑えたい方に最適な口座になっています。

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