信用取引と現物取引の取引方法と手数料を比較!100万円取引したときの総手数料は?

現物取引と信用取引の違い

信用取引とは、現金や株式を担保として証券会社に預けて、証券会社にお金を借りて株式を購入したり、保有していない株式を借りて売ったりする取引です。

最大預けた担保の評価額の約3.3倍まで株式の取引ができることで、手持ち資金よりも大きい金額の株式を購入でき値上がり益を大きく得られる可能性があります。また、信用取引は値下がりでも利益が得られ、保有していない株式を借りて売り買い戻すことで、値下がり分を利益にすることができます。

現物取引と大きく異なるのは、「レバレッジで手元資金の約3倍程度まで投資できること」と「信用売建(うりだて)により、値下がり時にも利益が狙えること」です。

信用取引は現物取引にない大きな利益を狙えるチャンスがありますが、その代わりに現物取引にはない手数料がかかることや「追証(おいしょう)」が発生するリスクがあります。

■手数料の違い

<現物取引と信用取引の違い>

現物取引 信用取引
売買できる金額 預かり金額まで 預かり資産の3.3倍 現金だけでなく、株式や投信でも良い
注文方法 買建・売建
手数料 売買手数料 売買手数料 信用金利(買建)
信用取引貸株料(売建)
逆日歩(売建・制度信用取引)
管理費(1ヶ月超の取引)
名義書換料(買建・権利またぎ時)

信用取引に買建時のときにのみかかる手数料と売建時のときにのみかかる手数料があるため、分かりやすく、分けてみてみましょう。

<信用取引手数料>

制度信用取引買建 制度信用取引売建(長期)
売買手数料 無料~ 無料~
信用金利(買建) 2.5%前後 (日割)
信用取引貸株料(売建) 1%前後(日割)
逆日歩(売建・制度信用取引) 1日につき1株あたり0.05~3円 各銘柄による
管理費(1ヶ月超の取引) 100~1,000円程度 100~1,000円程度
名義書換料(買建・権利またぎ) 100株ごと50円程度

制度信用取引で気を付けたいのが「逆日歩(ぎゃくひぶ)」です。

制度信用取引の売建の逆日歩は、信用売りの数量が多く借りられる株がなくなってしまった場合、他の投資家から株を借りてくるときにかかります。

逆日歩は実際に株が不足してから発生するため、信用の売建注文をするときにはどれだけかかるか分かりません。信用買残÷信用売残で求められる信用倍率が1倍近くもしくは1倍を割れているときは、信用売残が多くなって貸せる株が不足して逆日歩になる可能性が高いといえます。ただ、それを見越して、買い戻す動きも出てくる可能性があるため、逆日歩の金額や発生するかどうかを予想するのは難しいといえます。

また、信用取引は建てているときは、常に金利や貸株料の手数料が発生しています。現物株式は長期で保有していても手数料は発生しませんが、信用取引は、後で説明する追証のリスクや常に手数料がかかることから、長期ではなく短期で取引をします。また、下がっても損切りができない性格の方にはおすすめできません。

■追証のリスク

まず、信用取引で新規建玉を建てるために保証金が必要です。

保証金は、建玉総額の30%以上かつ最低保証金30万円を満たしている必要があります。

この委託保証金は現金だけではなく保有している有価証券を差し入れることができ、これを「代用有価証券」といい、株式やETF、REIT、投資信託などを前日終値の80%相当額を保証金とすることができます。

この保証金が建玉総額の30%を下回っても直ちに、何か起きるわけではありませんが、保証金が建玉総額の20%かつ最低保証金の30万円を下回ると追加保証金(追証)を支払う必要が出てきます。(証券会社によって維持率は異なります。)

追証が発生したら、追証が発生した翌々営業日までに現金の入金、建玉解消、預かり資金や保護預りの有価証券からの振替をしないと強制決済により取引が終了します。さらに10%を下回る場合は追証の差し入れ有無を問わず強制決済される可能性があります。

信用取引を利用すべき取引の特徴

上記のように現物取引に比べて、手数料が多くかかり、リスクもある信用取引ですが、信用取引を利用したい取引は以下の通りとなりましす。

■大きく値上がりしそうだ

株価が大きく値上がりしそうな場合、手元資金だけではその利益が小さくなってしまいます。値上がり利益が得られるチャンスを広げるため、信用取引の買建を利用することで、3倍程度の利益を得られる可能性があります。例えば、手元資金が500万円あり、現物取引で500万円買って2倍になると1,000万円ですが、信用取引買建を利用すれば手元資金500万円が3,000万円になります。

■下がりそうだ

株価水準が高く株価が下がると考える場合、現物株では株式を買っても損をしてしまいます。そこで、信用取引売建を利用することで、値下がりしそうな株式で利益を上げることができます。株価水準が高く値下がりしそうだと考える場合、現物株では手出しできませんが、信用取引売建を利用することで取引チャンスが広がります。

上記2つの取引は、大きな利益を狙えますが、レバレッジをかけた取引で、予想と逆の動きをした場合大きな損をしてしまう可能性があります。また、信用取引では高い金利と追証があるため、現物株式のようにいつか値上がりするから待つこともできません。

信用取引は、リスクを理解の上投資しましょう。ただ、信用取引でも、次に紹介する取引はリスクがなく取引することができます。

■株主優待リスクなしで受け取る

現物株式の買いと信用取引売建を行う「クロス取引」を利用することで、株主優待をリスクなしで受け取ることができる取引です。株主優待だけ受け取り、株価が下がって株主優待の価値以上に元本が損をしてしまうリスクを解消することができる取引になります。

株主優待リスクなしで受け取るクロス取引とは?

クロス取引は、株式の現物買いと信用取引の売建を同じ価格・同じ銘柄で行うことです。

信用売建は株式が下がるほどプラスになるので、現物株式が下がっても現物株式を返済すれば損失は無くなります。逆も同じで現物株式が上がっても、信用売り建がマイナスになるので利益も無くなります。このように、クロス取引においての信用取引については、現物株を買っているため損益は相殺されます。

こうすることで、株式の値下がり値上がりに関係なく株主優待のみ受け取ることになります。その代わり、株価が値上がりしても株式売却益は受け取れず、配当金も受け取れません。また、長期保有株主優遇のような、長期で株主となっている人だけに優遇する株主優待は、すぐに現物株を信用売建で返済するため受け取ることができません。

<クロス取引方法>

(例)A銘柄をクロス取引する場合

1.A銘柄が12月が権利月の銘柄である場合、権利付最終日の寄付(9:00)前に現物買と信用売の「成行注文」を同数量出します。

これは、同じ価格で注文を成立させるための注文です。

12/26同じ価格 A銘柄を1,000円で購入

A銘柄を1,000円で信用売り

この日は保有したままにします。

↓翌日A銘柄100円下落

2.翌日に現物の売りと信用の株の返却をします。

12/27 A銘柄現物株式900円(―100円)

A銘柄信用売り建900円(+100円)

→A銘柄の信用売り建を現物株式A銘柄で返済、―100円と+100円を相殺して完了。

<クロス取引を行う際の注意点>

■信用取引ができる信用口座の開設が必要

無料で開設できることが多いですが、申込に審査があるため申込んだ当日に開設できることは少ないです。

■コスト

つなぎ売りはきちんと行えば損失はないですが、リスクはつなぎ売りにかかる手数料です。つなぎ売りをする前に確認した上で行うことが大事です。

つなぎ売りには以下4つの手数料がかかります。

1. 現物株式購入手数料

現物株を購入する際にかかる株式手数料です。つなぎ売りの際、信用売り建分に購入分の株式返済するため売却手数料はかかりません。

2. 信用新規売り手数料

信用売りをする際にかかる手数料です。

3.貸株料

信用で株を借りている期間の貸株料です。

例)10万円の株式×(年利2%×2日分/365日)=10円

4.信用と現物の配当金の差額

現物株の購入により配当金を受け取れますが、税金20.315%が差し引かれて支払われます。逆に、信用売りに対しては配当金を支払う義務があるため配当金を100%支払います。現物株の配当金には税金分が差し引かれているためその分の差額が損失になります。

ただし、特定口座で株式比例配分方式の配当金を証券口座受け取りにしていると、翌年の1月に税金分が還付されますので、口座の状態を確認しましょう。

■逆日歩

信用取引には制度信用取引と一般信用取引があります。

制度信用取引の売建のみ逆日歩がかかります。逆日歩手数料がいくらになるかは、信用売り建を行った翌営業日しかわかりませんし、高額になることもあるため注意が必要です。

一方、一般信用取引は各証券会社が決めているもので、在庫がなく注文を出せないことはありますが、逆日歩はありません。人気銘柄の場合先着もしくは抽選になります。

■必ず同じ価格で

同じ価格で注文を成立させなければ損をしてしまう可能性があるので、寄付前に成行注文を出しましょう。

■株主優待の価値>手数料

コストを計算し、株主優待に価値の方が高ければつなぎ取引をする価値があります。

信用取引にかかる手数料は、証券会社によって異なるので証券会社選びが重要

手数料の違いの前にまず、信用取引の注文方法には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2つの方法があることを理解しましょう。

制度信用取引は、証券取引所が定めた基準満たした銘柄のみ取引可能で、金利も安くなっています。制度信用売りの場合、「貸借銘柄」に指定されていないと信用売りができません。

さらに、株を借りるときに売りが多くて株が不足していると「逆日歩」を支払わなければならないリスクがあります。信用残と信用買残をチェックして売りが大きく増えてないか確認する必要があります。

一方、一般信用取引は各証券会社が設定している信用取引で期間も長期にできたり逆日歩も発生しないため、株主優待目的のクロス取引に最適です。また、制度信用取引では取引できない銘柄も取引可能です。しかし、金利は一般信用取引よりも高く、在庫がないと信用売りができないこともあります。

<制度信用取引と一般信用取引の違い>

制度信用取引 一般信用取引
銘柄数 約3,500銘柄(貸借可能銘柄はそのうち約2,100銘柄) 全上場銘柄から証券会社選定銘柄(対象銘柄は制度信用より多い)
期間 原則6ヶ月以内 無期限、各証券会社が設定
逆日歩 逆日歩かかる 逆日歩かからない
在庫 逆日歩がかかる可能性はあるが取引できる 在庫がないと取引不可
金利・貸借料 低い 高め

制度信用取引の手数料は各社大きく変わりませんが、一般信用取引手数料(金利・貸株料)には各社違いがあります。また、一般信用取引売建をそもそも扱っていない会社もあります。制度信用取引にない銘柄を信用売り(空売り)したい方、株主優待目的のクロス取引をしたい方には、特に一般信用取引売建ができるかどうかさらに一般信用取引の手数料を比較することが重要です。

<信用取引手数料が安い3社比較>

SMBC日興証券 楽天証券 岡三オンライン
売買手数料(税込) 無料 ~10万円 99円
~20万円 148円
~50万円 198円
50万円超 385円
~50万円 無料
~100万円 770円
~200万円 1,100円
制度信用(金利) 2.50% 2.80% 2.60%
一般信用(金利) 3% 2.80% 2.80%
制度信用(貸株料) 1.15% 1.10% 2%
一般信用(貸株料) 1.40% 1.10% 取扱なし
管理費(税込)
1ヶ月毎
無料 1株11銭(下限110円上限1,100円) 1株11銭(下限110円上限1,100円)
権利処理手数料(税込) 100株55円 100株55円 100株55円
一般信用売建銘柄数 2,000銘柄 (2019年3月時点) 1,427銘柄 (2020年1月22日時点) 取扱なし

株主優待目的でクロス取引するなら、SMBC日興証券は一般信用取引にかかる取扱銘柄数が、業界最多水準となっており、手数料も低水準のためおすすめです。

株主優待目的ではなく、通常の信用取引を行うなら、通常手数料の安い制度信用取引を行います。

次に、具体的に100万円を6ヶ月間制度信用取引で取引した場合を計算してみましょう。

信用取引手数料が安い証券会社3社。100万円取引時の手数料を比較

<100万円取引時の信用取引手数料(税込)3社比較>

■買建(制度信用取引、6ヶ月)

A銘柄(株価1,000円)を制度信用取引で1,000株買建し、権利月をまたぎ、6ヶ月後反対売買により返済した。

SMBC日興証券 楽天証券 岡三オンライン
売買手数料 無料 770円 1,540円
金利 12,500円 12,500円 13,000円
管理費 無料 110円 110円
権利処理手数料
(税込)
550円 550円 550円
合計 13,050円 13,930円 15,200円

■売建(制度信用取引、6ヶ月)

A銘柄(株価1,000円)を制度信用取引で1,000株売建し、6ヶ月後反対売買により返済した。

SMBC日興証券 楽天証券 岡三オンライン
売買手数料 無料 770円 1,540円
貸株料 5,750円 5,500円 10,000円
管理費 無料 110円 110円
合計 5,750円 6,380円 11,650円

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したがって、売買手数料がかからない分、信用取引時の合計手数料金額が安くなっています。

■金利・貸借料が安い水準

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