証券会社で口座を開設し、「さあ、やるぞ!」と勢い込んで、膨大な情報を集め、利益が上がる株を見極めようと、必死になっていませんか。
株取引に勝率100%はありません。大切なのは、冷静に情況を判断し、利益を追うのでなく、損失を少なくすることです。
まずは取引に対する、自分なりのルールを決めましょう。
銘柄を選ぶ時は情報も大切ですが、いくつかのポイントがあります。
自分なりの方法論が確立するまでは、これらのポイントを念頭に置きながら、効率の良い取引を会得してください。
情報を集めるより早いのは、日常生活の中で興味を持っている会社の株に注目することです。
男性なら家電メーカーやアウトドアメーカーなど自分の趣味の世界に関係がある企業、女性ならアパレルメーカーやスーパーマーケットなど、日常的に関わる企業の株を調べてみましょう。
急激に伸びている! と思っていてもまったく知らない企業の株よりも、興味を持っていることのほうが理解しやすく、自然と値動きの予想を立てられます。
わかりやすい例として、アパレルメーカーの株と関連株で考えてみましょう。
来シーズンのファッショントレンドはツイードだという情報を、ファッション雑誌で見かけました。そこで、ツイードの服をデザインするのが得意なブランドや、ツイードを作っている繊維メーカーをピックアップします。
過去の株価と、当時のファッショントレンドを重ねあわせながら、値動きの感触を掴んでいけば、先の状況が見えてくるはずです。
興味がある分野なら、複雑な分析をしなくても、予測がしやすくなります。これは他の投資家が知ることのできない、独自の貴重な情報となります。
もう1つの例として、ユニクロのチャートと、株価が上がった当時のニュースを見てみましょう。
今年の冬は寒い→温かい衣料が欲しくなる→ユニクロの冬物セールが好調になる→株価が上がる、という図式が成り立ちます。
誰もが感じる日常の些細なことが、株価を左右するのです。
毎日の生活でアンテナを高くすることが、株取引で有利に働きます。
気になる銘柄が見えてきたら、本格的に情報を集めましょう。
証券会社が提供する情報だけでなく、会社四季報や日経新聞、企業サイトで財務情報などもチェックします。
もし、訪問できるような企業なら、実際に訪れてみるのも良いでしょう。
例えばスーパーマーケットなどの小売業なら、気になる企業で買い物をして、競合他社でも買い物をして、両者の良い点、悪い点を比較してみます。
売り場の活気や清潔度、商品の充実度、従業員のサービス、顧客の満足度など、気づく点は多いはずです。これらの情報は近い将来、企業の株価の一因となります。
机上では見えにくい現場の情報が見えてくると、今後の動向を予想しやすいはずです。
参考として小売業の代表格、セブン&アイとイオンのチャートを見てみましょう。
業績と株価はセブン&アイが高いのですが、チャートを見ると徐々に下がってきているのがわかります。イオンの業績は業界2位でセブン&アイに一歩及ばず、株価も半分以下ですが、チャートを見ると底値から上昇に転じています。
こうなると、セブン&アイは安定企業で手堅い株のようですが、これから買うには、利益が出にくい状態です。一方イオンは買いやすい価格で、上昇トレンドの気配を見せているので、利益を見込みやすくなります。
このような情報に加え、自身の目で見た生の情報をプラスすると、精度の高い予測を立てられるでしょう。
どのチャートにも白黒の四角と、四角から伸びる上下の線で値動きを示すローソク足が、表示されています。
この四角1つで「始値」「終値」「高値」「安値」の、4つの情報「4本値」を表しており、このローソク足を並べて線で繋いだチャートは、株取引を進める上で重要な情報となります。
短期の動きは1つのローソク足が1日分の日足チャート、中期の動きは1つのローソク足が1週間分の週足チャート、長期の動きは1つのローソク足が1カ月分の月足チャートで、それぞれ確認できます。
チャートの形だけでなく、ローソク足一つ一つの形にも着目して値動きを知り、次に来るローソク足を予測して売買を決めておけば、素早く行動に移ることができます。
株取引の基本は、「天井値で売って、底値で買う」に尽きます。上がったところ、下がったところを確認してから取引するのでは、利幅が低くなってしまいます。
「買い・売り」のよくあるパターンと、売買を検討している株のチャートを見比べながら、的確な予測をして、タイミング良く売買することが大切です。
証券会社などで提供している株価のチャートには、ローソク足チャートとともに、2色の折れ線グラフが表示されています。
これは移動平均線といって、ある一定期間の終値の平均株価をグラフにしたものです。
移動平均線は、どの期間を指定するかでグラフの形状が変わり、そこから読み取れる情報が変化します。
一般的に、日足チャートには25日と75日分の移動平均線、週足チャートには13週と26週の移動平均線が表示されています。
ローソク足チャートの現在の動き、過去の移動平均線2本の形を合わせると、さらに値動きを見通す精度が上がります。
利用方法はいたってシンプルで、移動平均線の上に株価があれば強気局面、下にあれば弱気局面です。移動平均線の向きも、情況を示しています。上昇なら強気局面、横這いは強弱感が対立する面、下降は弱気局面です。
この傾向を実際のチャートにも当てはめて、銘柄を選ぶ指標にしてください。
株価と移動平均線は、乖離の状態や方向性から、絶好の取引きポイントを示すことがあります。この取引きのタイミングをまとめたのが、「グランビルの法則」です。
買い局面、売り局面にそれぞれ4項目があり、このタイミングがなぜ見逃せないか、という理由も含め、よく理解して、実際の取引きで応用できるようにしましょう。
同様に重要な取引きのポイントとして、「ゴールデンクロス・デッドクロス」があります。
長期移動平均線と短期移動平均線が交わるポイントと方向で、今後のトレンドを見極められる法則です。上昇トレンドに変わりやすいゴールデンクロス、下降トレンドに変わりやすいデッドクロスは、初心者でも気づきやすいサインです。
発見したら即、行動を起こしましょう。
多くの情報があり、分析方法もわかったけれど、それでも銘柄を見分けるのは難しい、という時は、証券会社ごとに発信している情報ツールに頼りましょう。
下記の画像はマネックス証券の情報ツールで、チャートの形で銘柄検索をしたり、業種検索を簡単にかけられるシステムになっています。
これなら株初心者でも、パソコンが苦手でも、目で見て、クリックひとつで気になる銘柄を探せます。
証券会社は投資家の味方ですから、わからないことや不安は、カスタマーセンターで相談してみてください。
利益が上がりそうな銘柄を検討するのは重要ですが、まずは取引をしないと始まりません。「習うより慣れろ」の精神で、どんな銘柄でも構いませんので、無理のない量を持ち、値動きに注意し、売買を繰り返し、様々な経験を重ねましょう。
取引の感覚が身についてきたら、損切りの感覚も覚えてください。買うタイミングより難しいのは、売るタイミングです。ここで初めて利益が発生するので、積極的に売っていきましょう。損切りのリスクマネージメントが機能すれば、あなたも立派な投資家です!
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