「長期・積立・分散」は資産運用でキホンとなる3つの考え方 詳しい解説とこれらを踏まえた金融商品を紹介
資産運用3つの基本「長期・積立・分散」とは?
資産運用とは、現金・不動産・株式・債券など保有資産の管理・売買によって、資産を増やしていくことをいいます。この資産運用で代表的なものが、株式や債券、またはそれを組み入れた投資信託です。このような資産を金融商品といいますが、全て元本保証されておらず、日々価格が上下しており、買付価格より売却価格が下回っているときに売却すると損をしてしまいます。実際に、投資信託保有者全体の50%近くの顧客が、運用損益がマイナスとなっています。(2018年3月末時点の数値を公表した96社合算ベース)
2018年3月末というと、日経平均は21,454.3円(2018年3月30日)、ニューヨークダウ平均は24,103.11ドル(2018年3月29日)で現在(2019年11月18日)日経平均23,416.76円(+9%)、28,037.14ドル(+16%)と比べるとやや低いものの、2012年あたりからずっと上がってきているレベルのため、投資環境としては悪くない状況にもかかわらずです。
損をせずに金融商品で運用して利益を上げるために大切なことは何でしょう。それは、「長期・積立・分散」です。
「長期」の積立でより大きな利益を
まず、見てほしいのが、以下の投資信託口座開設年別運用損益率0%以上の顧客割合です。
口座開設年が古いほど、運用損益が0%以上の利益になっている顧客割合が高いことが分かります。つまり、長期保有するほど利益を出しやすいという傾向が分かります。
さらに、20年と長期で運用すれば、「リーマンショック」のような一時的に大きく下落することがあっても、一時的なものにとどまり最終的には利益となっているケースが多くなっています。金融商品は、日々価格が上下し、それにより一喜一憂してしまいますが、コツコツ長期で運用することにより、損をしてしまうリスクを低減することができます。
「積立」投資で手間をかけずに
長期運用でリスク低減をさせるのを最も効果的にするのが、「積立」です。
一括で一度に購入すると、買付タイミングが難しく、高値掴みをしてしまうリスクがあります。長期で積立することにより、買付タイミングを長期で分散することができ、リスクを分散することができます。
そして、同じ金額で毎月積立することにより、買付単価を下げる効果があり、この効果を「コスト平均法」といいます。
毎月一定金額を買うことで、価格が安いときはたくさんの口数を買い、価格が高いときは少ない口数しか買えないので、1万口あたりの買付単価を下げることができます。長期で行うほど時間軸の分散になり、買付単価を下げる効果が高くなります。
また、積立は一度設定すれば自動で銀行または証券口座からお金が引き落としされます。その結果、安いタイミングで買うために常に株価をチェックして買付タイミングをうかがう手間が不要となります。
「分散」投資でリスクをなるべく減らそう
投資の格言に「卵はひとつのカゴに盛るな」というものがあります。
これは、卵をひとつのカゴに盛るとカゴを落としたとき全て卵が割れてしまいますが、複数のカゴに盛っていればひとつのカゴにあった卵が割れても他のカゴの卵は無事ということをいっています。つまり、株式のみの特定資産や日本株式のみの特定地域に投資するのではなく、株式・債券・不動産REITなど様々な資産への資産分散、日本・米国・新興国など地域分散をして投資することで、ひとつの資産が値下がりしても他の資産でカバーすることでリスク低減をはかることができます。
上記のように、値動きの異なる資産に分散投資することで、安定的に資産運用をすることができます。
「つみたてNISA」で「長期・積立・分散」を実践
上記のような資産運用で大切な「長期・積立・分散」の考え方を実践できるのが、つみたてNISAです。
NISAは、投資による利益である分配金・配当金・売却益にかかる税金を非課税にできる制度です。NISAにはつみたてNISAと(一般)NISAがありますが、「長期・積立・分散」が実践できるのがつみたてNISAです。
つみたてNISA | 一般NISA | |
---|---|---|
対象者 | 20歳以上 | |
運用方法 | 積立方式 | 通常買付・積立方式 |
年間投資上限額 | 40万 | 120万 |
非課税となる期間 | 20年 | 5年 |
対象となる商品 | 国が定めた基準を満たした投資信託 | 国内株式・海外株式・投資信託 |
非課税対象 | 2037年開始分まで | 2023年開始分まで |
金融機関変更 | 各年ごとに変更可能 |
つみたてNISA で投資できる投資信託は、金融庁指定によるもので、長期積立に適した運用期間中のコストが低く、買付手数料無料の投資信託が厳選されています。また、非課税期間も20年と長いため、長期で非課税の恩恵を受けることができます。
つみたてNISA対象の投資信託は、低コストが特徴ですが、低コストは長期運用する上で重要なポイントです。
投資信託には、手数料として買付時にかかる買付手数料があり、買付手数料が無料の投資信託を「ノーロード投信」といいます。この買付手数料は、買付時に購入金額から差し引かれます。例えば、買付手数料1%の投資信託を100万円購入すると、購入時点で1万円差し引かれ99万円で運用がスタートし、最初にマイナス1万円となってしまいます。そのため、買付時に手数料のかからない投信のみが対象のつみたてNISAは入り口でまず損することを防げます。
また、買付手数料のように直接引かれない、見えないコストとして「信託報酬(管理手数料)」があります。この手数料は保有期間中ずっとかかるのですが、直接引かれず日々の基準価額に反映されています。例えば、基準価額10,000円信託報酬1%の投資信託なら、毎日基準価額から0.27円程度引かれています。日々少しずつ引かれるので、運用損益の影響が分かりにくいですが、長期保有するとこの影響が大きくなります。
<信託報酬の違いによる運用成果> | ||
---|---|---|
保有期間 | 信託報酬1% | 信託報酬2% |
1年 | 1,019,700 | 1,009,400 |
2年 | 1,039,788 | 1,018,888 |
3年 | 1,060,271 | 1,028,465 |
4年 | 1,081,158 | 1,038,133 |
5年 | 1,102,457 | 1,047,891 |
6年 | 1,124,175 | 1,057,742 |
7年 | 1,146,321 | 1,067,684 |
8年 | 1,168,904 | 1,077,721 |
9年 | 1,191,931 | 1,087,851 |
10年 | 1,215,412 | 1,098,077 |
5年、10年と長期保有になるほど、同じ運用利回りでも信託報酬の違いで大きく運用成果が変わります。つみたてNISA対象の投資信託の信託報酬は一定水準以下となっているため、長期運用で利益を上げやすいようになっています。
なお、つみたてNISAは2037年までとなっていますが、2020年度与党税制改正大綱によると2042年12月31日までと5年延長する予定となっています。
また、(一般)NISAにおいても、2023年までとなっていますが、2024年の税制改正で2028年まで5年延長した上で、中長期運用に適した投資信託に積み立てることが条件(年20万円まで)で、(一般)NISAで投資できた従来の株式などに年102万円まで非課税で投資可能にする刷新が行われる予定です。
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<つみたてNISA証券会社比較> | |||
---|---|---|---|
証券会社 | つみたてNISA銘柄数 | 最低積立金額 | ポイント充当(積立時) |
楽天証券 | 152本 | 100円 | 〇 |
SBI証券 | 153本 | 100円 | × |
岡三オンライン | - | - | - |
SBIネオトレード証券 | 1本 | 100円 | - |
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