クロス取引とは?クロス取引で株主優待が獲得できる証券会社4社比較。信用取引のやり方も0から解説

クロス取引の要素となる信用取引とは

信用取引とは、現金や株式を担保として証券会社に預けて、証券会社にお金を借りて株式を購入したり、保有していない株式を借りて売る取引のことです。最大預けた担保の評価額の約3倍まで株式の取引ができます。

信用取引の買いは、自己資金の約3倍までの株式の買付をすることができるので値上がりしたときの利益が大きくなります。一方、信用取引の売りは、株式を借りて売却から入ることができるので値下がりするとその分利益とすることができます。

株主優待銘柄を株主優待目的のみで購入しても、株価が下がり株主優待の価値以上に下がってしまうことで損をしてしまうことがあります。

株主優待銘柄を信用売建と現物買を同時に行う「クロス取引(つなぎ売り)」を行うことで、株価変動リスクを回避して株主優待のみ受け取ることができます。クロス取引を行えば、株主優待銘柄を購入して翌営業日どんなに下がっても損をしません。

クロス取引には、信用取引の売建のみ利用します。

売建とは?

1.売建

ある株の株価が将来下がると考えているときに、持っていない株を証券会社から借りてきいて売却し「売り建て」、下がったときに株を買って株を返済すると下がった分が利益となります。

2.返済方法

・買い戻し

同種同銘柄の株式を買って株を返し、差益(損)のみ受け取ります。

・現渡し

同種同量の株式を自ら用意し株を返し、信用売りの売却代金を受け取ります。

優待のみ得たいときに信用新規売りと同時に現物株式を購入して、優待の権利を得たら株で返却します。

手数料はどのくらい?

信用取引の売買手数料は現物株式の売買よりも安いです。信用取引の手数料で1番考える必要があるのが借りている期間の金利です。信用取引はお金または株を借りているため当然支払い利息が発生します。この支払い利息を考えて証券口座を選ぶと良いでしょう。

手数料や逆日歩を考える上で大切な信用取引の2つの注文方法

信用取引の注文方法には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2つの方法があります。

制度信用取引は、証券取引所が定めた基準満たした銘柄のみ取引可能で、金利も安くなっています。制度信用売りの場合、「貸借銘柄」に指定されていないと信用売りができません。さらに、株を借りるときに売りが多くて株が不足していると「逆日歩」を支払わなければならないリスクがあります。信用残と信用買残をチェックして売りが大きく増えてないか確認する必要があります。

一方、一般信用取引は各証券会社が設定している信用取引で期間も長期にできたり、逆日歩も発生しません。さらに、制度信用取引では取引できない銘柄も取引可能です。しかし、金利は一般信用取引よりも高く、在庫がないと信用売りができないこともあります。

手数料と期間、投資したい銘柄を鑑みて臨機応変に選択しましょう。

  制度信用取引 一般信用取引
期間 原則6ヶ月以内 3年程度、各証券会社が設定
逆日歩 逆日歩かかる 逆日歩かからない
在庫 逆日歩がかかる可能性はあるが取引できる 在庫がないと取引不可
金利 低い 高め

信用取引売建にかかる3つ費用

1.売買手数料

信用取引による株式売買手数料で、現物より安くなっています。

2.貸株料

借りた株式に対して支払うレンタル料で、信用取引の売りのみにかかります。貸株料の計算の仕方は金利と同じです。

3.逆日歩(ぎゃくひぶ)

逆日歩は制度信用取引の売りのみ発生する可能性があるものです。信用売りが多く証券金融会社に貸し出せる株がないとき、機関投資家などから株を調達して貸し出すため、この貸出料として「逆日歩」が起こります。

逆日歩の金額は日々変わり、土日祝日でもかかります。

「逆日歩」=1株当たり逆日歩×信用売り株数×保有日数

クロス取引について説明

クロス取引(つなぎ売り)とは、信用取引の売建と現物買を同時・同数量・同価格で行うことにより、株式購入後の下落リスクを回避して、株主優待のみ受け取る方法です。

そもそも株主優待のある株式は、権利付最終日に向けて株価が高くなり、権利落日に株主優待の価値分下がります。株主優待目的で購入したものの株主優待より下がってしまうリスクもあるのです。

そこで、クロス取引を行えば、株主優待だけ受け取れて株式の損を回避することができます。

例えば、A銘柄を同じ価格の3,000円で現物買と信用売建100株で取引した場合の損益を計算します。(費用を考慮に入れていません)

権利落日のA銘柄の値段 3,100円(+100) 3,000円(-) 2,900円(-100)
現物買 +100 0 -100
信用売 -100 0 +100
損益 0 0 0

このように、つなぎ売りをすると値下がりしても損をしなくて済みます。

クロス取引やり方

1.株主優待クロス取引の費用かどうかしっかりと計算

つなぎ売りには、【現物買の買手数料+信用売手数料+貸株料+(制度信用取引の場合逆日歩)+配当金の税金20.315%】が費用としてかかります。この費用が株主優待の価値よりも低ければつなぎ売りする価値があります。なお、現物株式で受け取るはずの配当金は、信用売建のときに配当調整金として先に支払います。現物株式の配当金は源泉徴収で20.315%差し引かれた金額を受け取り、信用売建の配当調整金は100%支払うため、税金分が負担金となります。

例えばSBI証券で、権利付最終日にA銘柄(株価3,000円×100株=30万円、株主優待の価値2,000円)をつなぎ売りした場合を、計算してみます。(税込8%)

・現物買手数料→270円

・信用売手数料→180円

・貸株料(一般信用・短期)→3.9%×30万円×(2日÷365日)=64円

・(配当金100%-現物配当金79.685%)

合計514円株主優待の価値2,000円

この場合、費用より株主優待の価値の方が高いためつなぎ売りする価値があるといえます。

2.つなぎ売りする価値があると判断できたら注文

権利付最終日の寄付(9:00)前に株主優待銘柄の現物株式の買い注文と信用取引の売建を同数量・成行もしくは寄付で注文を出します。(権利付最終日前でも良いですが、その分貸株料がかかります)

信用取引の売建とは、株式を借りて売却することです。株式を借りている期間、貸株料がかかかります。信用取引の売建には制度信用取引と一般信用取引があります。制度信用取引の売建は貸株料率が低いですが、信用売建が多く在庫がない場合に発生する「逆日歩」がかかるおそれがあり、逆日歩はその時にならないと費用が判明しないため購入前に計算することができません。

一方、一般信用取引は制度信用取引に比べて貸株料は高いですが、逆日歩が発生することはないため、購入前に費用を計算することができます。一般信用取引は在庫がないと取引できません。また、長期と短期があり、短期は貸株料が高いですが株主優待銘柄が豊富に揃っています。

権利付最終日はこのまま保有して売買はしません。

3.翌日の権利落日に信用売建を現物株で現渡返済して完了

現渡には手数料がかかりません。

クロス取引で注意しなければいけない点

つなぎ売りのデメリットを理解しておくこと

株主優待のみ受け取ることができ、株式の損を回避できるメリットがありますが、以下のデメリットがあります。

■デメリット

・配当金は受け取れない

・手数料がかかる

株主優待の価値より手数料が少ないことを必ず計算してから取引しましょう。

・長期保有株主への優待は受け取れない

・値上がりしたときでも利益にならない

・一般信用取引だと証券会社に在庫がないと購入できない、一方制度信用取引だと逆日歩がかかるリスクがある

・信用取引ができない銘柄ではクロス取引ができない

・配当金の税金分が負担金となる

クロス取引のリスクとなる「逆日歩」とは?

クロス取引で一般信用売建を行う場合は、逆日歩はかかりませんが、一般信用売建には証券会社に在庫がないと取引できません。

一方、制度信用取引は在庫に関係なく取引でき貸借料も低いのですが、逆日歩がかかる可能性があります。逆日歩の価格は事前にわかりませんが、逆日歩になるかどうかは予想することができます。株価が表示されている画面で、【信用データ】の信用倍率や信用売残を見ることができます。信用売残が多かったり、貸借倍率が1を切る低さであれば逆日歩になる可能性があります。

逆日歩計算方法

日数計算は、【信用売建受渡日】から【決済の受渡日】前日までとなり、土・日、祝日も含まれます。

■逆日歩=日数(クロス取引で土日祝日含まない場合1日)×株数×逆日歩(当日品貸料)

例えば、5月末権利確定日の株主優待銘柄を100株クロス取引し、逆日歩が1株あたり0.1円のときの逆日歩を計算してみます。株式の受渡日は4営業日で、土日祝日を含みませんが、逆日歩の日数計算は土日祝日を含みます。

・日数

  売建 現渡 逆日歩日数
5/28(火) クロス取引   1日
5/29(水) 現渡  
5/30(木)  
5/31(金) 受渡日  
6/1(土)    
6/2(日)    
6/3(月)   受渡  

逆日歩の日数は信用売建(クロス取引)の受渡日の5/31から起算して現渡決済の受渡日6/3前日までで3日分となります。

逆日歩=3日×100株×0.1=30円

逆日歩の価格は当日しかわからないため、事前に計算しておくことができず、土日祝日も含まれるため場合によっては株主優待の価値をコストが上回ってしまうリスクがあります。

証券会社4社の費用、銘柄数を比較

■売買代金50万円のときのクロス取引(税込)と銘柄数

  現物買
手数料
信用売建
手数料
貸借料率
(短期)
一般信用売建
(短期)銘柄数
(2019.4.15現在)
SBI証券 270円 194円 3.9% 671社
楽天証券 270円 194円 3.9% 13社
岩井コスモ証券 1,080円 432円 短期取扱
なし
 
松井証券
(1日定額制)
540円 540円 短期取扱
なし
 

※一般信用(短期)売建銘柄数は日々変動します。

クロス取引で手数料が安いのはSBI証券と楽天証券

クロス取引は株価変動リスクがないため、コストが安い分株主優待から得られる利益が大きくなります。クロス取引では、現物買付手数料と信用売取引手数料がかかりますが、SBI証券と楽天証券は、業界最低水準の現物株式・信用取引手数料でコストを安くすることができます。

クロス取引で利用する一般信用売建(短期)在庫が豊富なのはSBI証券!

クロス取引で利用する一般信用取引・短期の在庫が豊富です。また、他に先駆けて注文できる短期の期間が最大15営業日までとなっており、楽天証券の14営業日より多くなっています。一般信用売建の在庫は早い者勝ちでなくなるため、早くにクロス取引をすると権利を得やすくなりますが、早くに取引するとその分の日数分、貸株料がかかるため株主優待の価値と鑑みて注文しましょう。

クロス取引ってどうやってやるの?わからない! そんな方でも安心

クロス取引初心者向けに、クロス取引の方法のセミナー動画やセミナーガイド(テスト付)を見ることができ、信用売建日や現渡日を確認できるカレンダーも見れるため、初めてでも正しく注文でき安心です。

株主優待検索機能が便利

SBI証券の「株主優待検索」では、権利月や優待内容、最低投資金額などで検索できます。信用の売建つまりつなぎ売りができるかどうかと一般信用・短期の在庫状況も一目で分かるようになっています。

つなぎ売りを一般信用で行う場合在庫がないと注文出来ないこと、長期保有株主に優遇している企業はつなぎ売りの場合恩恵を受けられないことに注意して取引しましょう。

安心のNo1の証券会社

ネット専業証券で口座開設数第1位の口座で、初心者でも安心して取引できます。また、口座開設料・口座管理料も無料で、株式売買手数料も業界最低水準だから、株主優待目的の株式投資には最適な証券口座です。口座開設は、インターネット完結で簡単に手続きできますが、本人限定受取郵便の受取に数日かかるため、株主優待の権利付最終日には余裕を持って手続きしましょう。また、つなぎ売りは信用取引を利用しているため、別途信用取引にかかる審査があります。(1~2営業日)

口座開設数最多の大人気ネット証券会社。
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